

兵庫県・新温泉町。
冬の澄んだ空気に包まれたこの町で、心に深く残るお宿と出会いました。
それが、老舗旅館 朝野家 さんです。
玄関をくぐった瞬間から感じる、凛とした空気とやわらかな温もり。
決して華美ではないのに、隅々まで行き届いたおもてなしが、自然と心をほどいてくれます。
「ようこそ」という言葉に、気持ちまでそっと寄り添ってもらえたようでした。
夕食に並んだお料理は、まさに“二月”そのもの。
冬の厳しさと、春を待つやさしさが同居するような献立。
旬の食材が一品一品丁寧に仕立てられ、
味はもちろん、器や盛り付けからも季節の移ろいが伝わってきます。
「今、この時期にここでいただく意味」が、静かに語りかけてくるようでした。

派手さはないのに、深く心に残る。
それはきっと、料理にも“想い”が込められているからなのだと思います。
朝野家さんで印象的だったのは、スタッフの方々の距離感。
近すぎず、遠すぎず、必要な時にそっと差し出される気配り。
言葉よりも、所作や間(ま)で伝わるあたたかさがありました。
宿で過ごす時間そのものが、ひとつの“整う体験”。
忙しい日常から少し離れ、呼吸が深くなるような感覚を久しぶりに味わいました。
旅は、遠くへ行くことだけが目的ではなく、
「自分を取り戻す時間」を持つことなのかもしれません。
帰り際に、調理長がご挨拶してくだった事もとても記憶に残るひと時でした。
朝野家さんで過ごしたひとときは、
冬の終わりに、リラックスできる素敵な旅になりました。