

おはようございます。
昨日から2日間、しあわせの森 体感宿泊施設でイベントを実施しています。
本日もご予約で満員御礼です。
30年後から、その家の第二章が始まる
土地を持つことより、家族の時間を豊かにする家
家を建てるなら、土地を買う。
それが、これまでの家づくりでは当たり前の選択でした。
けれども私は、土地を所有するために大きなお金を使うことだけが、家族にとっての豊かさにつながるのだろうか、と考えています。
土地を借り、その分の資金を、家そのものや家族と過ごす時間に使う。
さらに、その家を30年後も大切に使い継いでいく。
「しあわせの森プロジェクト」は、そんな土地と家のあり方を考えるところから始まりました。
なぜ、定期借地権は生まれたのか
昔の借地制度は、土地を借りる人の暮らしを強く守る仕組みでした。
大正10年(1921年)に制定された旧借地法のもとでは、契約期間が終わっても、地主さんが更新を断るには「正当な事由」が必要でした。そのため、一度土地を貸すと、いつ返ってくるのか見通しを立てにくいという課題がありました。
借りる人を守ることは大切です。
一方で、地主さんが「土地を貸したくても、将来戻ってくるか分からない」と感じれば、新たに土地を貸すことをためらってしまいます。
そこで、平成4年(1992年)に施行された借地借家法で、貸す期間と終了時の扱いをあらかじめ決める定期借地権が設けられました。
借りる人は、土地を購入しなくても、そこに家を建てて長く暮らせる。
地主さんは、約束した時期に土地が戻る見通しを持てる。
双方が将来を考えながら土地を活用するための仕組みです。
「50年以上借りて、更地で返す」という選択への疑問
住宅で使われる一般定期借地権は、契約期間を50年以上とします。
50年に限らず、60年、70年と定めることもできます。
その大きな特徴は、契約を更新しないこと、建物を建て替えても借地期間を延長しないこと、そして契約終了時に地主さんへ建物の買取りを請求しないことです。
期間が満了すれば、原則として借りた人が建物を取り壊し、更地にして土地を返します。
土地を買わずに長期間暮らせるのは、大きな魅力です。
今回のイベントテーマである「土地を持つことより、家族の時間を豊かにする家」も、そこから生まれています。
土地の購入に充てる資金を、心地よい家、子育て、旅行、趣味、家族の思い出に使うという選択です。
ただ、一般定期借地権の「最後は建物を壊して返す」という仕組みを考えたとき、私には一つの疑問が残りました。
「将来壊すことを前提にした家に、本当に良い素材を使い、世代を超えて住み継げるような家づくりができるだろうか。」
せっかく家を建てるのであれば、30年、50年で価値がなくなる家ではなく、手入れをしながら長く大切に使われる家をつくりたい。
そこで、もう一つの選択肢として考えたのが、建物譲渡特約付借地権です。
建物譲渡特約付借地権という選択肢
建物譲渡特約付借地権は、借地権を設定するときに、30年以上経過した日に、建物を相当の対価で地主さんへ譲渡することを約束する仕組みです。
建物の譲渡によって借地権は終了します。
この仕組みなら、借りる人が暮らした後の建物を、地主さんが引き継ぐ道を考えられます。
土地を借りる人にとっては、土地購入のための大きな借入れを抑え、その分を本当に大切にしたい住まいや暮らしに使うことができます。
良い素材を選ぶ。
心地よい空間をつくる。家族との食事を楽しむ。
子どもたちとの思い出を重ねる。
「土地を持つこと」に使うお金の一部を、「その場所で過ごす時間」に使うという選択です。
地主さんにとっても、土地を貸して終わりではありません。
大切に住まわれ、適切に維持管理されてきた建物なら、将来その建物を引き継ぎ、次の暮らしや地域のために生かせる可能性があります。
だからこそ、この仕組みで一番大切なのは、30年後、地主さんにとっても「引き継ぎたい」と思える家をつくることだと考えています。
土地を購入する場合と、借りる場合
例えば、1,500万円の土地を購入する場合と、しあわせの森プロジェクトで土地を借りる場合を考えてみます。
購入する場合は、土地代だけでなく、住宅ローンの利息、土地の税金、登記費用、将来の解体費用なども考える必要があります。
一方、土地を借りる場合は、毎月の地代と契約時の一時金などが必要です。
土地を購入する場合、住宅ローンは40年間の試算総額を年平均に直して30年分に換算すると、次の比較になります。
| 土地1,500万円を購入する場合 | しあわせの森プロジェクトで借りる場合 |
| 土地購入・諸費用・40年ローンの利息・土地の税金・将来の解体と売却を含む試算総額:11,679,285円 | 1家族あたりの地代:月1万円 × 12か月 × 30年 = 3,600,000円 |
| 40年間の総額を30年分に換算:約8,759,464円 | 返還しない一時金50万円、借地権移転等20万円を加えた合計:4,300,000円 |
この前提では、30年分に換算した差額は約446万円です。
土地を買うための1,500万円を借り入れる必要がなくなれば、家づくりや暮らしに充てる資金の選び方も変わります。
※土地を購入した場合は、住宅ローン40年間の試算総額を30年分に按分した概算です。
30年目に土地を売却した場合の手元資金を示すものではありません。
また、借地側の金額には、将来、建物を解体して、更地にする代わりに建物を譲渡します。
地代月3万円を3家族で分担し、1家族あたり月1万円とする前提です。
30年後も価値が残る「本質の家」
安く建てて、古くなったら壊す家ではなく、年月を重ねても愛される家をつくりたい。
流行だけを追うのではなく、時間とともに味わいが増す素材を使う。
傷んだところは直しながら使い続ける。
家族構成や暮らし方が変わっても、間取りや用途を変えて生かせるようにする。
そして何より、住む人が「この家を大切にしたい」と思える家にする。
家の価値は、建てたときだけで決まるものではありません。
そこで営まれる暮らしと、重ねてきた手入れによって、少しずつ育っていくものだと思います。
借りる人だけが得をするのでも、地主さんだけが得をするのでもない。
土地を貸す人と、借りて家を建てる人が、お互いの未来を考えながら家の価値を育てていく。
そこに、私たちが考える「本質の家づくり」があります。
30年後から始まる、その家の第二章
30年後に建物を地主さんへ譲渡することを、家の「終わり」とは考えていません。
30年間、大切に住み続けられた家を、次の人へ、次の暮らしへつないでいく。そこから、その家の第二章が始まる。
地主さんが引き継いだ家は、新しい家族の住まいになるかもしれません。
地域の人が集まる場所、子育て世代を支える場所、高齢者を見守る住まい、小さなお店や仕事場になるかもしれません。
その使い道を今から決めることはできません。
だからこそ、30年後の誰かが「この家を使いたい」と思える可能性を、最初の家づくりに込めておきたいのです。
家を一世代だけで使い終えるものとしてではなく、地域の中で長く使い継がれる資産として考える。
それが、しあわせの森プロジェクトの目指す家づくりです。
分かち合い、助け合う「しあわせの森」
土地を貸す人がいて、借りて家を建てる人がいる。
そして、その家を将来使う人や、地域で暮らす人がいる。
それぞれが自分のことだけを考えるのではなく、相手の未来にも思いを寄せる。
土地を分かち合い、家の価値を育て、次の人へ受け継いでいく。
これからの家づくりには、そんな関係があってもよいのではないでしょうか。
「所有すること」から、「生かすこと」へ。
「競争すること」から、「分かち合うこと」へ。
「自分だけの豊かさ」から、「次の人へつながる豊かさ」へ。
土地を持つことだけを目的にするのではなく、その場所で、誰と、どんな時間を過ごすのかを大切にしたい。
家族にとっての何気ない日常が、心豊かな特別な時間になる。
そして、家族が大切にしてきたその家が、30年後には次の誰かの幸せにもつながっていく。
30年で、家の役割が終わるのではない。
30年後から、その家の第二章が始まる。
そんな未来まで考えた「本質の家づくり」を、新しい住まいの選択肢として提案していきたいと思っています。