

おはようございます。
先週は、明石市N様の鍵のお引き渡しでした。
何気ない日常の暮らしを心豊かな特別な時間に変える
素敵な家が完成しました。

N様おめでとうございます。
末永いお付き合いよろしくお願い致します。
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10月8日(水)秋祭り日和のいいお天気ですね。
約2週間、はりまの地は
神様と繋がり、『豊穣』の感謝の心を表現する大切な秋祭りの季節を迎えます。
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さて、本題です。
共働き世帯で、昼間はほとんど家にいない場合、「日中に発電した電気を使う」ことができないため、
太陽光発電システムを導入しても使い切れず、余剰電力を売ることになるケースが多いでしょう。
蓄電池もセットで導入となると200万~300万円の予算が必要です。
そのため、住宅をつくる段階で「建材そのもの」に高性能を付加し、
できるだけ外部エネルギーに頼らない設計をすることには、次のような意味があります。
光熱費の抑制:断熱・遮熱性能が高く、呼吸性と調湿性、蓄熱性を持つ素材を上手に組み合わせれば、冷暖房負荷を下げやすい。
快適性と健康性:湿度のゆらぎを抑え、カビ・結露リスクを減らし、室内の居心地を安定させやすい。
将来価値:省エネ性能が高い住宅は資産価値が下がりにくく、将来の光熱費見通しでも強み。
災害時の強さ:停電時でも温熱環境をなるべく保てる素材性(熱を蓄えるとか、外気の変動を遮る性能)が、生活継続性の観点で有利。
ただし、これらを追求するには建築コストが上がる可能性が高く、設計・施工の精度も問われる点には注意が必要です。
施工技術の高い会社選びはもちろん、建築時点の費用だけでなく、維持管理費や光熱費、医療費といったコストも含めた『30年間の総コスト』と『30年後の資産価値』を考えた提案をしてくれる会社選びがとても大切です。
ここで、それぞれの性質を整理しつつ、住宅性能にどう効くかを見てみます。
| 性質 | 意味 / 機能 | 実生活での効果 |
|---|---|---|
| 断熱性 | 熱の移動を抑える/熱の侵入・逃げを抑える | 冬に外気冷気が室内に入りにくく、夏の熱気を遮る |
| 気密性 | 空気の漏れ・侵入を抑える | 外気の影響を受けにくく、計画された空調制御が有効になる |
| 呼吸性 / 吸放湿性(調湿性) | 内部の湿度を緩和・調整する能力 | 湿度変動を和らげ、結露やカビのリスク低減 |
| 蓄熱性 | わずかな冷暖房の冷気・暖気を、素材が熱をためて放出する能力 | 夏は空調の冷気を蓄熱しひんやり、冬は暖気を蓄熱しあったかい |
| 遮熱性 | 日射の侵入(特に太陽熱)を遮る能力 | 夏場の室内温度の立ち上がりを抑える |
これらを単一素材で全部備えることは難しいため、「素材を使い分け」「レイヤー構成を最適化」するアプローチが現実的です。
例えば・・・
外装側には、遮熱・断熱性を強めた仕様
内装側には、調湿性・蓄熱性を持つ素材
複層・厚手の断熱材を気密層と併用し、壁体内に余裕を持たせ、通気と湿気逃がし設計をほどこす
床下・基礎・土間に蓄熱性素材を配置し、地熱や昼夜温度差を利用する
実効的な冷暖房負荷低下
断熱+遮熱+気密が高いと、外気温変化の影響を受けづらくなります。日射熱や外気温度の急変に対して、室温をゆるやかに保てます。
安定した湿度環境 / 健康性
湿気の過不足が抑えられ、カビ・ダニリスク低下、結露抑制、呼吸器的ストレスの軽減などにつながります。
エネルギーのピークカット性
冷暖房運転を短時間・断続的に使うだけでも室温を維持しやすいため、昼間不在の時間帯にたいするピーク需要が抑えられます。
省メンテナンス性
湿気や熱のストレスが構造材にかかりにくくなり、木材の腐朽抑制、躯体の劣化抑制につながる可能性があります。
将来の再エネ設備との親和性
建材性能をしっかり確保しておけば、後から太陽光や蓄電設備を追加する際、初期の負荷が小さい暮らしを守る「土台」ができます。
2026年度の補助金の詳細は、これから決まりますが・・・「子育てグリーン住宅補助金事業」等で、断熱性能高い住宅の導入支援がなされており、補助金があります。
こうした制度を活用すれば、コスト上昇をやわらげられる可能性があります。
良い面ばかりではなく、注意点もあります。
初期コストの増加
高性能建材・手間のかかる施工・細やかな設計を採用すると、材料費・施工費・設計管理費が上がることがあります。 持続可能な建材を吟味することがポイントです。
施工精度・設計力への依存度が高い
性能を活かすには、断熱・気密・通気・湿気設計などが適切に組み合わされている必要があります。設計・施工ミスがあると 性能を十分に発揮できません。施工技術のある会社選びがポイントです。
「過剰設計」リスク
当初予定される生活パターンが変わる可能性(在宅勤務拡大、昼間利用増、設備の追加等)もあるので、必要性能を見誤ることも。
設備(太陽光や発電機器等)とのバランス設計が難しい
建材性能を重視したうえで、どこまで発電設備を付加するかのバランスを取る必要があります。共働きで日中家にいない家庭では、発電設備は、定年後に設置を検討出来る設計もポイントです。
経年劣化・維持管理
ある素材が経年で性能が劣化する性質を持つこともあります。その劣化を見越した設計やメンテナンスが必要。※ 将来、リノベーションで劣化した断熱材を取り換えるために天井・壁・床の撤去が必要です。
こうしたリスクを認識したうえで設計・計画すれば、「建材性能+発電設備」の最適バランスを見出すことができます。
特に退職後、家で過ごす時間が増えたとき、昼間発電した電力を有効活用できるようになるため、発電能力を高めておくことが意味を持ちます。ここで注目したいのが「ペロブスカイト太陽電池」という次世代技術です。
ペロブスカイト(perovskite)構造をもつ有機・無機ハイブリッド材料を光吸収材料に用いた太陽電池技術を指します。
特徴として、**薄膜化・軽量化・柔軟性(フレキシビリティ)**が可能で、曲面や建築外装との一体化がしやすい点が挙げられます。
また、製造工程が比較的単純で、将来的にはコスト低減が見込まれています。
ただし、耐久性(長寿命)、効率、環境安定性(湿度・熱・光劣化耐性)が課題とされています。
(詳しい技術的な説明は専門分野になりますが、一般向けには「薄く曲がる発電素材」と理解しておけばよいでしょう)
以下、最近の動きから見えるペロブスカイトの「今」:
実証プロジェクトの進展
・リコー/東京都などが、庭園灯にペロブスカイトを搭載して屋外実証を実施中。
・積水化学は、神戸空港でフィルム型ペロブスカイト太陽電池の実証実験を開始。空港制限区域内での設置は国内初の試み。
・横浜港大さん橋では、厳しい環境(塩害・風雨)下で耐久性や発電性能を確認する実証を開始。
・大林組とアイシンでは、建築施工性を含めて設置工法や発電量検証を行う実証実験を開始。
・東芝は、国内で初めてタンデム型(シリコン+ペロブスカイトを重ねた構造)太陽電池の実証実験を開始。
・横浜市庁舎アトリウムでも、建材一体型太陽電池(ペロブスカイト含む)の実証が始まる予定。
政策支援とロードマップ
・経済産業省は「次世代型太陽電池戦略」をまとめており、ペロブスカイト太陽電池の実用化・量産性向上が中長期の国家戦略の一部とされている。
・NEDO(国立研究開発法人)では、「次世代型太陽電池実証事業」を公募中で、2024~2030 年度を視野に性能検証や量産化技術開発を支援。
技術的課題
1. 長期耐久性:湿度、熱サイクル、紫外線・赤外線耐性などへの耐久性強化が必須。
2. 安定性:材料の分解や劣化を抑える封止技術・層構成設計が必然。
3. 大型化およびモジュール化:小片実験やプロトタイプでの成果を、建築一体型・大面積展開へつなげる技術が十分成熟していない。
4. 実装・接合技術:建築物(外壁・屋根)との取り合い・接着性・メンテナンス性を担保する設計手法が必要。
5. 変換効率の維持:長時間運用下で効率を維持するための材料改質、界面制御、劣化抑制技術。
全体として、「研究 → 実証 → 小スケール実装 → 段階拡大 → 量産・普及化」という流れが進行中、ただし本格的な一般住宅への展開には、あと数年~十年程度の期間を要すると考えられます。
昼間活動が増える将来を見据えると、次世代型太陽電池としてペロブスカイトには以下のような魅力が期待できます:
発電面の自由度・設置場所拡張
薄型・軽量・柔軟性を持つため、従来のシリコン型では設置が難しい屋根傾斜・曲面・外壁・庇下などへの設置が可能になります。これにより発電面積を増やしやすくなります。
建材一体化設計(BIPV、BAPV相当)
壁材や瓦材・外装材に組み込む形で発電機能を与えることが可能になる見込みです。他の建材と統合できれば、設備負荷を軽くでき、見た目もすっきりします。
後付け・交換可能性
実証プロジェクトでは「容易に交換できる工法」の検証を目指すものもあり、将来的にモジュール交換や更新を前提とした設計が可能になる方向性。
投資回収性・寿命最適化
定年後に日中在宅時間が増えれば、発電量をより効率的に使えるようになるため、発電設備への投資が相対的に有利になります。つまり、昼間不在時期に比べて「使い切れる電力量」が将来上がるという点で、有利性が増します。
将来の技術進化取り込み余地
まだ成熟段階であるため、今後の材料技術進化(耐久性向上、コスト低減、効率向上)を取り込むことができる「拡張可能性」が残されています。新材料・改良技術を取り込めるよう余裕ある設計をしておくと安心です。
従って、「建材性能重視で最小限必要な発電設備を後で追加可能とする設計」+「将来ペロブスカイト搭載を見据えた電気系統設計」が、共働き世帯で夜間のみ太陽光を使うライフスタイルには、有利な選択肢になり得ます。
共働き世帯で昼間不在が多い設計では、太陽光発電システムだけに頼るよりも、まず 建材性能の底上げ に投資することが合理的な選択肢になります。
断熱・気密性を確保しつつ、呼吸性(調湿性)、蓄熱性、遮熱性を適切に組み合わせることで、実際の冷暖房負荷をぐっと抑え、快適性と健康性を高められます。
お客様の暮らしを丁寧にインタビューし、それぞれのご家族の暮らしに合わせて、ちょうどいい暮らしを設計することが大切です。エネルギーに頼り過ぎることなく、建材そのものが持つ素材の良さを組み合わせて、何気ない日常の暮らしを心豊かに楽しむ特別な時間に変える設計力+普遍的な外観デザインで30年後の資産価値も高める提案力が大切な時代です。
定年後に昼間在宅時間が増えるフェーズを見込むなら、次世代型太陽電池「ペロブスカイト」は非常に有望な選択肢になり得ます。現在、国内外で実証プロジェクトが進んでおり、耐久性や設置技術などの課題克服が次のステージです。
よって、最初から「建材性能+将来発電拡張余力」を視野に入れた住まい設計をしておくことが、長期視点での暮らしの安心性と価値を引き出す鍵になるでしょう。