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カラーベスト屋根の「7年ごとに塗装しても劣化が止まらない理由と対策」

築20年以上のカラーベスト屋根。「塗装」で延命する時代は、そろそろ終わりかもしれません。

あなたの家の屋根、最後にメンテナンスしたのはいつでしょうか?

築20年を超えた住宅に住む多くの方が、屋根についての心配を感じつつも、「まだいける」「見た目は大丈夫」と先延ばしにしてしまいがちです。とくにカラーベスト(スレート)屋根の家では、そうした“見た目の安心”が、思わぬトラブルの前兆になっていることが少なくありません。

「とりあえず塗装でいいかな」「また7年後に塗り替えればいいでしょ」
そう思っている方にこそ伝えたい。

今こそ“塗装ありき”の屋根リフォームの常識を、一度立ち止まって見直してみませんか?


見た目の劣化は遅く、内部の劣化は速い

まず、カラーベスト屋根とは何か。正式名称は「化粧スレート」。セメントを主成分とした板状の屋根材で、軽量かつ施工性が良く、1990年代から2000年代初頭にかけて非常に多くの住宅で採用されました。

特に、築20年以上というと、ちょうどこの屋根材が標準的に使われていた時期と重なります。では、その屋根材に今、何が起きているのか。

答えは、「屋根材の本体が、静かに、しかし確実に劣化してきている」ということです。

屋根の表面を見ても、多少の色あせや苔の発生程度では気づきにくいのがこの素材の厄介なところ。内部ではすでに微細なクラック(ひび割れ)や層間剥離が始まり、水分を吸収しやすいスポンジ状の構造へと変化していることもあります。

このような状況では、どんなに高耐久の塗料を塗っても、屋根材そのものが水を吸えば、すぐに塗膜が浮いたり剥がれたりしてしまいます。これは、外から見ただけでは分からない「屋根の真実」です。


7年ごとの塗装ループ。費用と手間の積み重ねが家計を圧迫する

「屋根は10年に1度塗り替えるもの」
そう信じて、これまで2〜3回ほど塗装リフォームをしてきたというご家庭も多いでしょう。

しかし、実際には、「7年も経たずに再塗装が必要になった」という声も増えています。

特に、前回の塗装がきちんと下地処理されていなかった場合、表面だけ塗り直しても数年で剥がれてしまうケースが目立ちます。そうなると、前回の塗装にかけたお金はほとんど無駄に…。

例えば、30坪程度の住宅で1回の屋根塗装にかかる費用はおよそ70〜90万円。7年ごとに繰り返せば、20年間で3回、200万円を超える出費になります。

しかもそのたびに足場を設置し、数日〜1週間ほど家の周囲を囲われ、塗料の臭いや生活の制限もついてまわる。

果たしてそれは、最善のメンテナンスと言えるのでしょうか?


屋根の“体力”を根本から再構築できるカバー工法

ここで注目したいのが「カバー工法(重ね葺き)」です。

これは、既存のカラーベスト屋根の上から新しい軽量金属屋根をかぶせるリノベーション手法。ガルバリウム鋼板などの素材が使われ、非常に高い耐久性と防水性を誇ります。

「上からかぶせるだけなら簡単そう」と思うかもしれませんが、実はこの工法の最大のメリットは、屋根の下地やルーフィング(防水シート)も一緒に新しくできること

つまり、屋根の“見た目”だけでなく“構造と性能”そのものを若返らせる、いわば“屋根のリノベーション”なのです。

さらに、以下のようなメリットもあります:

  • 解体や廃材処理がほぼ不要なので、環境負荷が少ない

  • 工期が短く、天候リスクにも比較的強い

  • 既存屋根が二重構造になることで、断熱・遮音性も向上する


初期費用は高いが、実は「一生に一度で済む」可能性も

カバー工法は確かに一度の施工費が高く、平均で150〜200万円程度かかります。これだけ見ると、塗装の倍以上の金額です。

しかし、耐久年数を見てください。

一般的な屋根塗装の寿命は7〜10年。
一方、ガルバリウム鋼板によるカバー工法は30年、条件によっては40年以上の寿命を持つこともあります。

これはつまり、「一度やれば、今後の屋根工事は基本的に不要になる」という可能性が高いということ。人生の後半戦を迎えるタイミングでこの工事をしておけば、老後の心配ごとや出費を減らせる選択肢にもなり得るのです。


塗装できないカラーベストも存在する

ここで一つ、意外と知られていない事実をご紹介します。

2000年代前半、アスベスト規制が厳格化されていく過程で、アスベストを含まない代替カラーベストが多く流通しました。しかし、これらの中には素材の強度が低く、塗装してもすぐに剥がれてしまう屋根材が存在します。

代表的な製品としては「パミール」「レサス」「コロニアルNEO」などがあります。これらは、メーカー自身が「塗装不可」と明言しているケースもあり、実際に塗装業者が断ることも珍しくありません。

つまり、塗装できない屋根が、すでにあなたの家に載っている可能性もあるということ。

こうした屋根材こそ、カバー工法によって根本的に再生させるべきタイミングです。


屋根リフォームは、見た目の美しさではなく“暮らしの安心”のために

屋根は、雨風から家族を守る最前線。
でも、日常の中ではほとんど目に触れず、忘れ去られがちな存在でもあります。

そのため、「塗って綺麗になったからOK」「色があせてきたからまた塗ろう」という、表面的な判断が繰り返されやすいのです。

しかし本来、屋根のリフォームは「見た目を綺麗にすること」ではなく、「家そのものの構造寿命を延ばし、快適で安全な暮らしを続けるため」に行うべき工事です。

特にこれからの日本は、異常気象・豪雨・突風・台風など、屋根にとって過酷な時代に突入しています。
家を“資産”として考えるなら、いちばん先に手を打つべきなのは屋根の構造補強であるべきなのです。


まとめ:あなたの屋根、「最後の塗装」にする時がきたかもしれません。

これから先、どれだけこの家に住むか、何年後に手放すかは人それぞれです。

ですが、塗装を3回続けて失敗するより、最初の1回で根本から安心を手に入れる方が、よほど賢明な選択だとは思いませんか?

築20年を超えた今こそ、“塗装ありき”のメンテナンスから、“本質的な屋根リノベーション”へと考えをシフトしてみる時です。

塗装ではなく、「カバー工法」という新しい選択肢を、ぜひ真剣に検討してみてください。

この記事を書いた人

中道 翔太

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