

「数年前なら買えたのに、今は完全に予算オーバー……」
家づくりの相談を受けていると、ここ数年でこの言葉を本当に多く聞くようになりました。
実際に住宅価格は、この10年で大きく上昇しています。
2015年頃には3,000万円前後で建てられていた注文住宅が、今では4,000万円を超えるケースも珍しくありません。
同じ家を建てるだけでも、約1,000万円以上高くなっているという感覚です。
「給料はそこまで上がっていないのに、家だけがどんどん高くなる」
そう感じている方も多いのではないでしょうか。
なぜ、ここまで住宅価格は上がってしまったのでしょうか。
理由はいくつかあります。
まず一つは、資材価格の高騰です。
住宅には、木材・鉄・断熱材・設備機器など多くの材料が使われています。
ここ数年は世界的な情勢の影響もあり、これらの価格が大きく上昇しました。
さらに大きいのが、職人不足による人件費の上昇です。
住宅業界では長年、職人の高齢化が問題になっていました。
若い人が減り、熟練した職人が引退していくことで、建築現場では慢性的な人手不足が続いています。
人が少なくなれば、当然人件費は上がります。
そしてもう一つは、住宅性能の向上です。
最近の住宅は、
・断熱性能
・省エネ性能
・耐震性能
などが昔よりも大きく向上しています。
これは住む人にとっては良いことですが、その分どうしても建築コストは上がってしまいます。
つまり現在の住宅価格の上昇は、
一時的なものではなく、構造的な問題
と言われています。
残念ながら、
「数年待てばまた安くなる」という可能性はあまり高くありません。
ここで多くの人が悩みます。
「それなら、家を買うのは諦めた方がいいのか?」
しかし実は、ここで一つ大きな誤解があります。
それは、
「注文住宅が買えない=家を持てない」
と思ってしまうことです。
確かに、昔ながらの
「広い土地に35坪〜40坪の注文住宅を建てる」
というスタイルは、以前よりハードルが高くなりました。
ですが、家を持つ方法はそれだけではありません。
むしろ今の時代は、
家の持ち方が大きく変わり始めている時代とも言えます。
例えば最近では、
・中古住宅を購入してリノベーションする人
・実家や祖父母の家を引き継ぐ人
・コンパクトな新築を建てる人
・土地の選び方を変える人
など、従来とは違う家づくりのスタイルを選ぶ人が増えてきています。
実際、住宅業界の現場にいると感じるのは、
「家づくりの正解は一つではない」
ということです。
昔は
「結婚したら新築の一戸建て」
というイメージが強かったですが、
今はライフスタイルも働き方も多様化しています。
共働き世帯が増え、
在宅ワークも広がり、
子どもの人数も家庭によってさまざまです。
そんな時代だからこそ、
自分たちに合った家の形
を選ぶことがとても重要になってきています。
家づくりで本当に大切なのは、
「どんな家を建てるか」よりも
「どんな暮らしをしたいか」
です。
・家族でゆっくり過ごせるリビングがほしい
・家事がラクになる動線にしたい
・光熱費のかからない家に住みたい
・将来も無理のないローンにしたい
こうした暮らしの理想を考えていくと、
必ずしも「高額な注文住宅」が最適とは限りません。
視点を少し変えるだけで、
家づくりの可能性は大きく広がります。
そこで今回は、住宅の現場に関わる立場から
「今の時代でも現実的に家を持てる4つの選択肢」
を紹介します。
これから紹介するのは、実際に多くの人が選び始めている方法です。
1.中古住宅を購入して性能向上リノベーションをする方法
2.実家や祖父母の家を引き継いでリノベーションする方法
3.無駄を削ぎ落としたコンパクトな新築住宅
4.土地の考え方を変えて家づくりの総額を下げる方法
これらの方法を知っておくだけで、
「家づくりは無理かもしれない」と思っていた人でも、
現実的な選択肢が見えてくる可能性があります。
次の章では、それぞれの方法について
メリットや注意点も含めて詳しく解説していきます。
家づくりを諦める前に、
ぜひ一度知っておいてほしい内容です。
今、住宅業界で最も注目されているのが
「中古住宅を購入してリノベーションする」
という方法です。
この方法の最大のメリットは、
やはり取得費用を抑えられることです。
例えば、新築住宅の場合
・土地 1,500万円
・建物 3,000万円
合計 4,500万円
というケースは珍しくありません。
しかし中古住宅の場合
・土地+建物 2,000万円
という物件も多く存在します。
そこに
・断熱改修
・水回り交換
・間取り変更
などのリノベーションを行って
仮に1,000万円かかったとしても
合計3,000万円程度
で家を手に入れることができます。
さらに最近増えているのが、
性能向上リノベーション
と呼ばれる工事です。
これは単に内装を綺麗にするだけではなく、
・断熱性能を上げる
・耐震補強をする
・設備を省エネ仕様にする
など、家の性能そのものを高めるリノベーションです。
これにより
・冬暖かい
・夏涼しい
・光熱費が安い
といったメリットも得られます。
つまり、
「購入費用」と「住んでからの費用」
両方を抑えられる可能性があるのです。
中古住宅を選ぶ際の一つの目安は
1981年(昭和56年)以降の建物
です。
この年に「新耐震基準」が導入されたため、
それ以降の建物の方が耐震性が高い可能性があります。
ただし注意したいのは、
リノベーションは新築より難しい工事だということです。
建物の状態を見極めながら工事を進める必要があるため、
・リノベーション実績がある会社
・施工事例が豊富な会社
を選ぶことがとても重要になります。
もう一つ、最近とても増えているのが
実家や祖父母の家を活用する方法です。
日本では現在、
約850万戸の空き家
があると言われています。
その多くは、
・親が住んでいた家
・祖父母の家
です。
もし家族の中に空き家があるなら、
それを活用するという選択肢もあります。
この方法の最大のメリットは
土地代がかからないことです。
家づくりの費用の中で、
実は一番大きいのが「土地」です。
地域によっては、
土地だけで1,000万〜2,000万円
することもあります。
しかし実家を活用する場合は、
基本的にその費用がかかりません。
そのため必要なのは
リノベーション費用のみ
になります。
例えば
・耐震補強
・断熱改修
・水回り交換
・間取り変更
といったフルリノベーションでも
1,000万〜1,500万円程度
で済むケースもあります。
さらに昔の家は
・土地が広い
・立地が良い
・庭がある
など、今ではなかなか手に入らない条件を持っていることもあります。
ただし注意点もあります。
それは
相続や家族間の話し合いです。
将来の所有権や費用負担などを、
事前にしっかり整理しておくことが大切です。
「やっぱり新築がいい」
という方も多いと思います。
その場合におすすめなのが
コンパクト設計の新築住宅です。
住宅価格が上がっている今、
最もシンプルなコスト削減は
「家の面積を小さくすること」
です。
以前は
35〜40坪
の住宅が一般的でしたが、
最近は
26〜30坪程度
の住宅も増えてきています。
「そんなに小さくて大丈夫?」
と思うかもしれません。
しかし、間取りを工夫すれば
坪数が小さくても十分に快適な家を作ることは可能です。
例えば
・廊下をできるだけ減らす
・回遊動線にする
・収納を効率的に配置する
・吹き抜けを作る
こうした設計によって
小さくても広く感じる家
を作ることができます。
さらにコンパクト住宅には、
・建築費が安い
・冷暖房費が安い
・掃除がラク
といったメリットもあります。
実際に住んでみると、
「このサイズで十分だった」
という声も多いのです。
家づくりの総額を左右する最大の要素は、
実は建物ではなく土地です。
同じ家を建てても、
・人気エリア
・駅近
・整形地
など条件が揃うと、
土地価格は一気に上がります。
逆に、
・エリアを少し広げる
・駅から少し離れる
・変形地を選ぶ
といった工夫をするだけで、
数百万円〜1,000万円以上
価格が変わることもあります。
最近は
・在宅ワーク
・車通勤
などライフスタイルも変わってきています。
そのため、
「駅徒歩10分以内」
という条件にこだわらなくても
快適に暮らせるケースも増えています。
土地の条件を少し柔軟にするだけで、
家づくりの可能性は大きく広がります。
住宅価格が上がり続けている今、
「注文住宅が高すぎるから家は無理」
と感じてしまう人も少なくありません。
しかし、視点を少し変えるだけで
家を持つ方法はまだたくさんあります。
例えば
・中古住宅を購入してリノベーションする
・実家や祖父母の家を活用する
・コンパクトな新築住宅を建てる
・土地の考え方を変える
こうした選択肢を知ることで、
家づくりの可能性は大きく広がります。
家づくりで一番大切なのは、
「どんな暮らしをしたいか」
です。
大きな家を建てることが
必ずしも豊かな暮らしとは限りません。
自分たちに合った住まい方を見つけることが、
本当に満足できる家づくりにつながります。
これから家づくりを考えている方は、
ぜひ一度「家の持ち方」を柔軟に考えてみてください。
きっと、あなたにとって最適な住まい方が見つかるはずです。