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断熱と調湿について2

断熱と調湿について2

『断熱』と『調湿』に一体どんな関係があるのかと思われる方も多いと思いますが、『断熱』とは読んで字のごとく『熱を断つ』もので『暑さや寒さに左右されず、室内の温度を保つこと』と思っている人がほとんどです。

それは、プロであるハウスメーカーも工務店も同じで、残念ですが その程度の認識しか持っていません。

だから 外断熱が良いとか内断熱が良いとか『断熱材』を多く入れれば、『夏涼しく、冬暖かい』省エネ住宅になるくらいの単純な知識で、季節による気候変動や温度湿度の変化を無視して断熱性能だけを上げる事に躍起になります。

確かに温度調整は、断熱の大きな役割の1つですが、日本の家造りで重視してきた断熱材の『大切な役割である調湿』を忘れてはいけません。

因みに、人が生活する住宅内部には大量の湿気が継続的に発生し、4人家族では水に換算すると8~10ℓの水を毎日 放出しています。

そんな状況 プラス、日本の高温多湿な気候を無視して 間違った断熱を施工すると『壁内結露』(壁の中で汗をかいた状態、水滴でぐっしょり濡れてしまう現象)を引き起こしてしまいます。

夏場、エアコンの室外機のホースから大量の水が流れ出ているのを見たことがあるかと思いますが、あれは全て室内の空気に含まれていた湿気です。

『目に見えない水』がいかに多いかがご理解いただけるのではないでしょうか。

一般的な住宅メーカーが採用している壁の充填工法(内断熱)の材料は、グラスウールをはじめ、ロックウール、ポリスチレンフォームがほとんどで、この構造では、温度変化が壁の中で起こってしまい、しかも調湿性能が ほぼ0なので『壁内結露』が起こってしまいます。

しかも、グラスウールやロックウールなどの内断熱材を使う場合、施工時に どうしても僅かな隙間が出来てしまいます。

隙間があると空気が壁の中に流れ、壁内結露を起こし、それを防ぐため薄いポリスチレンフィルム(ビニール)で覆わないといけません(長期優良住宅では義務付けられています)。

この状態こそ『ビニールハウス』で、残念ながら湿気の進入を現場施工のビニールで止めようもなく、結露対策がむしろ結露の原因になっています。

また、冬の結露は イメージ出来ると思いますが、夏も外気温36〜8度、湿度60%以上の外の空気がエアコンによって24〜5度に冷された内壁面に接する事となり、当然の結果として『逆転結露』を引き起しています(実は夏の結露の方が深刻です)。

結露が発生すれば、グラスウールやロックウールは、水分を含んで断熱材としての役割を果たさなくなるばかりではなく、直接触れる柱や梁などの木材を腐らせたり、カビ・シロアリ等の発生の原因になります。

鉄骨系なら大丈夫だと思われますが、結露はサビや腐食の元凶です。

梅雨があり、高温多湿の日本で家造りをすることは、とても難しいことです。

だからこそ、断熱だけではなく湿度をもコントロールする高断熱・高調湿の断熱工法が必要必然になってくるわけです。

家造りに対して正しい知識を持ち、一棟一棟 目に見えない所にも気を配り、丁寧な施工をする事が大切だと思います。

この記事を書いた人

安藤 友純

安藤 友治
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